花散

ごはんと旅行とそのた

20240224冬の生牡蠣

久しぶりにA氏と遊んだ。

A氏は2018年頃、別ジャンルで知り合ったオタクだ。元々相互フォローしていたので全く名も知らぬ仲という訳ではなかったのだけれど、お互いサークル参加をしていたイベントでA氏の方から声をかけてくれたのが仲良くなるきかっけだった。A氏は私より二回りほど年上だったが、年下の私にも気遣いを欠かさない、年長者特有の説教臭い話し方をすることのない優しい人だ。

その後しばらくは、鑑賞会をしたりオタク関係ないお出かけをしたりと数年は月に一度遊ぶような関係だったが、色々あって二人ともジャンルを離れた。会う頻度は以前ほどではないにせよ、それでもジャンルが変わった今も年に2~3度は遊ぶ仲である。

私が友達付き合いがヘタクソすぎるというのもあるけれど、オタク友達というものは基本的に儚い。儚くて当然だとも思っている。明確に喧嘩をしたとかでなくても、共通の話題がなくなったら会うこともなくなる、そういう期間限定の友人関係だ。けれど私にとってはそのくらいの距離感がちょうどよく、話題にも事欠かないので、心地よい。

とはいえ今も定期的に遊んでくれるほどなので、全く共通の話題がないということもない。事務所の話や今ハマっているジャンルの話、アイドルという大きな括りの話ができる、私にとっては貴重で数少ないお友達だ。

 

本当はピューロランドに行くつもりだった。

ピューロランドは別に一人でも行けるのだけれど、家から遠いので結局一人で行ったことはあまりない。そういえば、三連休で晴れ間が覗いていたのは結局この日だけだった。

待ち合わせはピューロランド前だった。そのため私は20分前に多摩センター駅に着き、10分前には待ち合わせ場所に着くように身支度を整え、改札を出た。

改札付近には子供連れや、この日、ピューロでワンマンライブを行う予定の踊ってみたグループのオタクらしい女子がたむろしていた。本来見込まれている客層である。私は微笑ましい気持ちで彼らを追い抜かし、待ち合わせ場所に向かっていたが、その時A氏から「臨時休館になったらしい」との速報が入った。

これはいけない。とりあえず合流し、予定の再調整を試ることになった。

今日の予定は二本立てで、午前中はピューロで遊び、夕食をよる店の予約を17時で取っている。現在の時刻は午前10時。この、微妙な、7時間。

池袋や新宿に出る手もあったが、ピューロはA氏が提案してくれたので、私からもスケジュールの提案を出す必要がある、と思った。A氏は気乗りするものには了を出すが、気乗りしないものはスルーする傾向にある。そして私はスルーされることに抵抗がない。礼儀として、提案だけはすべきだろう、と思った。

 

まず、候補に挙がっていた越谷レイクタウンシルバニアカフェはどうか、と言った。だが多摩センターからはちょっと遠い。そして予約が取れるかも厳しいという話になった。

あとは、個人的に私が最近ハマっている築地で昼食を取ることを提案した。これにはすぐに乗ってきたので、一路築地へ。到着したのは11時を少々回ったところだったので、元々多い築地は更に活気にあふれていた。

私はいつもなら4000円程度のおまかせすしランチを食べることが多い、というか、築地に来る理由はそれしかない。だがどこの店もそこそこに混んでいたので、フードコートのある築地魚河岸の小田保へ向かった。

以前、牡蠣フライを食べに来た店である。ここの牡蠣フライはマジでバカでかい。握りこぶし2つ分ほどが1個分の牡蠣フライで、それが3つ乗ってくる。これだけで相当お腹がいっぱいになる。

今回は別メニュー、マグロとフライのセットにした。フライは4種類の中から好きなものを選べる。私はアジフライ、A氏はメンチカツを選んだ。

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Youtubeチャンネルの経理ではないが、何故か最近アジフライが好きだ。

アジフライは予想した捌き方?形?ではなかったが、肉厚で美味しかった。欲を言えばからしとかタルタルソースとかがあればもっとよかった。

 

ここは食べた後ぼんやりしていると巡回のおばちゃんにどやされるので、食べたらすぐに退散。

市場エリアを適当にぶらついていたら、卵焼きの串が美味しそうだということになり、築地山長さんに並んで食べることに。

ここはいつ行っても大行列ができているが、最後尾がわかれば怖いことはない。列は長いが販売物が1種類しかなく提供も早いため、すぐに順番が来る。築地は狭い路地に大行列ができていることがままあるので、コミケ方式を採用すればいいのに、と来るたびに思う。

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卵焼き串はあたたかいを通り越してあつあつである。だしの味もするが、結構甘い。ぺろりと食べられてしまうお味である。

 

そこから散歩がてら、カフェエリアの駅まで歩くことにした。方向を間違えなければ東銀座~銀座~日比谷までは一瞬である。私怨を抱いている某B/G/Rを探したが歩いていた大通りに店舗はなかった。

 

A氏は私がカフェ巡りが趣味であることを知っているので、どこかいい場所はないかと聞いてきたが、生憎私が行く場所はスイーツがバカでかい。一応フルーツパフェの店を案内したが、どう考えても定食を食べた後であり17時から夕飯を食べる予定の腹には入りそうになかったので、その隣のスタバに入った。

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最近シフォンケーキが好きだ。外で食べるにはまあまあ高いし食べでもないのだが、家で作るには面倒なので余計に好きだ。さくらシフォンはふかふかしていておいしかった。

 

ここで結局最近グループを脱退しソロに転向する推しの話をした。愚痴に終始するのでするつもりはなかったのがA氏の優しさに甘えてかなり語ってしまった。自分でも熱くなると声量がバカになるのはわかっていたので抑えめにしたつもりだがどうだったかは記憶がない。

彼(推し)のやっていることは度々私の羞恥心を煽るのだが彼本人は全く羞恥を感じていないので共感性羞恥という言葉は彼には当てはまらないこと、今迄は彼へ感じていた羞恥をメンバーが誤魔化してくれていたので何とかなっていたがこれからは原液100%の羞恥を浴びなければならないのでつらいこと、オタクとしては推しが大変な時こそ応援しなければならないという気持ちがあるのに台湾ファンミに10万円の遠征費をかけて行くことに抵抗があること……などを洗いざらいぶちまけさせてもらった。

自分とオタク観の合うフォロワーがおらず、推しが脱退を決めてから誰かに直接これらの愚痴を言えた事がなかったので、A氏が聞いてくれて本当にすっきりした。一方的に聞かせてしまっている申し訳なさもあるが、頼りにしている、心から大事にしたいお友達である。

 

担降りのきっかけとなった台湾ファンミについて。台湾ファンミの開催は土曜日の夜なので、有休をとりづらい時期ではあるのだが金曜の夜に発てば行くこと自体はできる。だがきっと空港でのお出迎えなどもあるだろうし、観光などはできなさそうだ。だがファンミのチケット代、旅費、移動費などでしょうみ10万円はかかる。だがどうせ台湾に行くなら、もう少し日程を伸ばして観光してから帰りたい、どうせ飛行機代はかかるのだし…というのが私の正直な気持ちだった。しかし本当に仕事が休めないので、ファンミに行くためだけに台湾に行くことになりそうなのだ。しかしファンサをしてくれる訳でなし、ただ彼の美しい顔を見、つまらない話を聞くためだけに10万円を費やすことになる。ドラマだって1話以降見ていない。私はいずれ、このファンミに費やした10万円を後悔する日が来るのではないのか?という思いを否定することができなかった。

しかし同時に、「行けないけど応援してます♡」などというクソなオタクになりたくないのも本心なのだ。オタクは現地に行って応援してこそ、金を払ってこそオタクである。茶の間がオタクを名乗るなというマインドで生きてきた私にとって、今まさに逆境に立たされている彼をこそ応援するために、彼のオタクを名乗り続けたいのならば10万円をどぶに捨ててでも台湾へ飛ぶべきなのは重々承知していた。

だが結論から言えば、私は彼に費やす10万円を惜しみ、いわゆる担降りを選んだ。

私はA氏に、自虐も込めて、「10万円は決して払えない金額ではないが、10万円惜しさのために私はファンミを諦め、ファンミを諦める自分への情けなさゆえに担降りを決めたのだ」と熱心に語った。だがA氏はきっと私が望んだとおり、諭すように静かな口調で、「いや、10万円は、大金だよ」と言ってくれた。そう、10万円は、庶民のわれわれには大金である。事前に払っていた今日のピューロへの入館料5千円を惜しむように…。払い戻し、しないとな。

 

そしてA氏は私に、「もし彼が地位を安定させた時、オタクに返り咲く日は来るのか」とも聞いてくれた。しかし答えは否である。彼が一番大変な時、オタクとして彼を支えなければならない時、私は彼を支える道を選ばなかった。自分の金とメンタルを優先して担降りするような私が、彼が再びトップスターとして輝いた時、図々しくも、オタクを名乗るような惨めな真似はしたくない。そう語った私に、A氏は静かに「そっか」と頷いてくれた。

否定も肯定もしない、ただ私のやるせない気持ちを静かに受け止めてくれる。それがとても有難く、だからこそ、私は今、A氏に会いたかったのだと思った。この誰にも話せない気持ちをA氏に聞いてほしかった。そして私も、A氏の気持ちを聞いてあげられる人になれていたらいいなと思った。

 

そんな話をしていたら、夢中になりすぎてうっかり話しすぎてしまった。

確かスタバに着いたのが14時くらいで、15時くらいに「場所変えます?近くに日比谷公園とかありますけど」「いや~別に…」「じゃこのままここでだらだらしましょうか~」と時計を見たのは覚えている。そして電車の時間を確認し、16時くらいには店を出ないといけませんね~とか言っていたのに結局店を出たのが16時半だった。喋りすぎ。

ピューロに行っていたらもしかしてここまでしっかり愚痴を言えなかったかもしれないので、私は有難かったけれど。そういえばオタク関係で知り合った人間は話が合う割にファッションに統一性がないという話を聞いたことがあるが、私とA氏はまさにそれであろう。

 

小走りで幡ヶ谷まで移動し、牡蠣と魚へ。

ここはA氏とも二回目の訪問。予約を取らないで飛び入りで行ってもほぼ入店できないので注意。以前は電話予約のみだったがいつのまにか食べログで予約できるようになっていた。進歩。

A氏が私と遊んでくれる理由のひとつに「生牡蠣が好き同士」というのがあると思っている。牡蠣は好きな人は好きだが嫌いな人は嫌いなので、A氏のまわりに私以外に一緒に食べに行ける人が少ない、のだそうだ。今回私がA氏をお誘いした口実も何を隠そう「冬が終わる前にまた牡蠣食べに行きませんか」だったので、私的にはラッキーな話である。

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そしてリーズナブルに生牡蠣を食べるとなれば、この店は外せない。何せ吸い放題。マジで座った瞬間生牡蠣が10個ボンとテーブルに置かれ、以降、「追加ください」と言えば10個単位で無限に生牡蠣が運ばれてくる。産地は選べないしサイズは小さめだが、とにかく量を食べたい人にはもってこいの店なのだ。レモンやポン酢などは有料だが安いし、てんぷらやフライなどを別で頼むと、一個のサイズもデカくなる。なお、刺身もうまい。

生牡蠣を15個ほど、あとは刺身などをいただき、満腹で店を出た。

 

この時点でまだ19時なので解散にはまだ早いと、新宿のカフェに入った。カフェというか、ルノアール。小奇麗だし高確率で待たずには入るし、紅茶がなくなった後も緑茶をくれるしかなり好き。

ここで3時間ほどまたくっちゃべって帰った。A氏と遊ぶ時のお決まりのコースだが、A氏は本当にお世辞にもあまり面白くない私の話を、ジャンルが変わった後も笑顔で聞いてくださるので本当に好きだ。会う頻度は少なくなってしまったが、またピューロはリベンジしたいし、大切にしたいお友達である。大切なことなので二度書いてしまった。

 

おわり。