事務職には珍しく、京都出張の命が下った。
ムーミンバレーパークで羽目を外したきっかけとなった社外研修の第二弾であり最終章となるが、社会人になってから出張などしたことがなく、かなりテンパった。事務職なので朝から晩までPCに向かっているのが常の人間に対して、朝から晩まで行動を共にし、交流を深める、若干の修学旅行みすらあるこのイベントはかなり苦痛である。こちとらド陰キャやぞ、修学旅行での楽しい思い出なんてあるわけなかろうが、あるのはお思い出したくもない苦い失敗談だけだっつーの。
想像するだに行きたくなかったが、会社が行けと言うなら仕方がない。長いものには巻かれる平社員のせつなさたるや。とはいえ今回は社外の人との飲み会はなく、結論から言えば社内のゆるい飲み会のみ、移動は各自でという大人の修学旅行だったため、意外とそこまで疲れずに済んだ。夏の京都も満喫できたし。
というか、そもそも私が京都送りにされたのも、役職持ちで宿泊を伴う出張でも明らかにOKなのが独身の私しかいないので、人選としては「選抜」というより「消去法」なのは明らかなのであった…。
午前中は会社で普通に仕事をして、各自適当に出発。
品川から新幹線に乗る予定だったため品川でお昼も考えたけれど、腹が空きすぎて低血糖になってしまったため、急遽近場の定食屋でさばみそを食す。最近やけに魚が好きで、よく鯖を食べてしまう。
品川駅でカフェに入ろうか迷ったが、それなら京都のカフェに入った方がいいかと、予定よりもだいぶ早い新幹線に乗り込み3時ごろには京都入りした。
駅前のカフェでのんびりするかとも思ったが、ホテルのチェックインまで2時間くらい余裕があったため、思い切って祇園四条へ寄り道することにした。それにしても、京都の電車は横幅が狭い。
移動時間を考えると祇園四条で過ごせる時間は1時間ほどだったが、まずは行ってみたかった喫茶ソワレへた。激混み予想して入店できずに蜻蛉返りすることも覚悟だったものの、まさかのすんなり入店。流石に平日15時は空いてたか…。
レトロな昭和喫茶感溢れる内装と、透明感のあるステンドグラスっぽい照明にメロメロになりつつ、勿論名物のゼリーポンチを注文。レトロなグラスにカラフルゼリーがたっぷりでめ〜ちゃくちゃ可愛かった!レモンとキウイがさっぱり感を高め、まさに夏にぴったりの一杯。
ゼリーは味は普通だけれど、レトロサイダーは大好きな味だった。どちらかというとラムネに近い。
その後、駆け足で花見小路通へ移動し、推しグループの聖地巡礼に励んだ。
はなれでちりめん山椒、祇園味幸にて黒い人の竹入り柚子七味と青い人のアーモンド七味を購入!京ばうむは閉店しており、和菓子屋と梅干し屋も寄りはしたものの、何を買ったかは明言されていなかったためそっと店を出ることになった。
特に祇園味幸は、彼らが訪れたのは4年ほど前にもかかわらず未だに特設コーナーがあってテンションが上がってしまい、普段はしないのだけれど、会計中店員さんに「YouTubeで見て来ました」と話しかけるとすかさず「そうなんですね~!私もFC入ってます!」とのこと。「青い人が買ってたのでアーモンドは絶対買おうと思って〜」などちょっと世間話をして、るんるんで店を後にした。行けてよかった!しかも話を聞くに同担でウケた。
地図を見ると結構点在しているイメージで、まあ点在はしているのだが、庇のある通りだし、店同士もそこまで離れていないので巡りやすかった。南座も一応行ったけれど、現在の興業のアピールが強すぎてどう撮ったらいいものか…になった。撮ったけど。
着いて早々好き勝手行動しているが、名目上、仕事で来ているので指示された時間に遅れる訳にはいかない。定刻通りにホテルにチェックインして荷物を整理、汗を拭き、懇親会会場である清水五条の川床へ向かう。
ひとりでのんびり行く予定だったのだが、ホテルの部屋を出ると同じフロアの方と鉢合わせし、話を聞くと他新入社員数名と待ち合わせをしているという。ここで断るのもどうかと思い、流れに乗って連れだって一緒に行くことになった。
懇親会会場は会社のえらいひとが張り切って予約してくれた、鴨川沿いの川床。つるが清らかな感じの多分老舗。川床でのお食事は初めてだったけれど、風が涼しくて思った以上に気持ちよかった〜。コース料理だったのだけれど、前菜、マグロや鯛の刺身盛り合わせ、鱧の湯引き、鱧しゃぶ、鮎の塩焼き、とりがいの酢の物、天ぷら、スイカなど夏を感じるメニューでとても美味しかった。鱧おいしかった!!
隣は同じフロアのやや同期の男性だったのだが、彼も下戸でこういう飲みの場は不得手なタイプらしく、変に盛り上がることもなく終始穏やかな席でかなりのんびりできた。
余談だがご不浄に立った後、戻ってみるとデザートのスイカが供されていて、「スイカだ〜❕🎶🍉」とクソデカ独り言を言いながら席に着いたらその同僚男性が振り返って「びっくりした、突然愛想のいい女性の声が聞こえてきたからキャバクラかと思いました」と言っていてクソ笑った。確かに「お隣失礼しま〜す」のイメージある、行ったことないから想像だけど。
あと対面式だったので対面に別支店の営業が座っており、「〇〇さん(私)すごく美味しそうに食べますね」と食べている顔を見られていたらしくて恥を晒してしまった。以前も築地のカウンターですし食べてたら「とても美味しそうに召し上がってらっしゃって…」と言われたことを思い出し、本当に、恥。
以前書いたかもしれないが、その営業はアニオタであり、新入社員歓迎の飲み会で「私も同じアニメ好きっすよ~」と話を合わせたところ懐かれたというか狙われたというか、とにかくなんか、嫌な感じに距離を詰められてかなり辟易した相手である。いい人なんだろうけれど、なんというか、アロマンティックには嫌な雰囲気を感じ取ってしまったためやや遠巻きにいなしていたのだが、後輩女子とアニメや食べものの話で2時間みっちり親しくしており、飲みの後に二人で抜けてラーメンを食べに行く計画まで立てており(二次会に行ったため流れたようだが)よっしゃ狙いから外れた!!と再びニコニコで話すことができた。色恋沙汰で揉めて会社辞めたりしたらやだもんな。
二次会の流れから一抜けし、川沿い〜先斗町を少し散歩してホテルに戻った。
解散になった時点で21時を過ぎていたので、夜カフェと洒落込むにも微妙に遅く、夜パフェも時期的にメロンばかりだったので、スタバで抹茶ラテを買って部屋で飲んでデザートに代えた。メロンはな、アレルギーがあるからな、食べられないんだなあ…。
後で話を聞くと、二次会どころかその後三次会まで雪崩れ込み、後輩女子は三次会会場でひたすら爆睡、タクシーでホテルに連れ帰られたらしく、シンプルにヤベエなと思った。よかったね会社の飲み会で、よかったね変な男とかいなくて…。
出社後、研修レポートを書いたのだが、弊社ではレポートは書式はあるが内容は適当で、多分人によって書く内容もかなり違っている、が、別に指導はされない。
私は眠気醒ましに研修中にめちゃくちゃメモを取っていたのでレポートを書くのに全く困らずむしろどう削ろうかと思ったくらいだったが、後輩女子が訊きに来た内容が「川床でごはん食べたのって何駅で、どうやって行きましたっけ…」で「まさかこいつ旅程書いてんのか?」と思ったが何も言わなかった。前回もそんな感じで提出して、多分何も言われなかったんだろうし、私は査定者ではないので何を言うべくもない…というか、私も正解がわかっていないので。南無三。